違法収集証拠

捜査官が無理矢理自白をとった場合には、誘導や恐怖から虚偽自白がなされるおそれが強く、証拠の信用性が失われてしまいます。

これに対して、物的な証拠の場合は、無茶な捜査をしたからといって証拠の信用性が失われることにはならないように感じます。

しかし、犯罪の捜査は、なまじ目的が正しいだけに、手段が何でもありになりがちです。したがって、どこかで歯止めをかけておかなければなりません。

そこで、①令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、②これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合は、その証拠は裁判で使えないとされています。

例えば、カバンから覚醒剤が出てきたとしても、捜査官が無断でカバンを開けていたような場合には、その覚醒剤は証拠にできません。他に証拠がないなら、被告人は無罪とするほかないことになります。

「明らかに犯罪を犯しているのに無罪なんておかしい」というのは簡単ですが、これはあくまで捜査官が非難されなくてはなりません。やり得は許されません。

それが人類の英知の結晶「適正手続の保障」なのです。

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